ASTRO-H打ち上げ成功。ひとみに決定!ひとみの先輩方をご紹介。

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月17日、打ち上げに成功したX線天文衛星「ASTRO-H」の名称を「ひとみ」に決めたと発表した。

名前は(1)高温物質から発せられるX線を通し、「熱い宇宙の中を観るひとみ」、(2)「画竜点睛」の故事から瞳は「物ごとの最も肝要なところ」という意味に使われており、X線天文学において最も肝要なミッションになってほしい、(3)瞳は、眼の中で光を吸い込む部分であり、ブラックホールは「宇宙の瞳」──という意味だという。

本日打ち上げが行われた、X線天文衛星「ASTRO-H」の名称が「ひとみ」に決まりました。

「ひとみ」は日本にとって6代目のX線天文衛星になります。

ここではひとみ以前のX線天文衛星を簡単にご紹介します。

◆はくちょう(CORSA-b)

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CORSA-bは、1976年2月4日の打ち上げで軌道投入に失敗したCORSAの代替衛星で、3年後の1979年2月21日には姿勢基準装置を改良したM-3Cロケットによって打ち上げに成功、第4号科学衛星「はくちょう」と命名されました。はくちょうは「すだれ型X線コリメーター」と呼ばれる観測機器を搭載した初の観測衛星で、X線星、X線バースト、硬軟X線星雲などの観測を行なっています。
すだれコリメーターは東大宇宙航空研究所のX線観測責任者で、後に宇宙科学研究所長となる小田稔教授の発明で、すだれ状の格子を重ねることによって星の光の入射角をより正確に検知できるようになりました。

◆ てんま(ASTRO-B)

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てんまは、X線星、X線銀河、ガンマ線バースト、軟X線星雲の観測を行なうX線天文観測衛星です。はくちょうに続く、日本で2番目のX線天文観測衛星です。はくちょうは中性子星を主体とするX線パルサーや、X線バースト源など多くのX線天体を観測し、成果をあげてきました。てんまは、はくちょうよりも格段にすぐれた分解能力のある観測装置により、中性子星や活動銀河の観測を行ない、はくちょうによって明らかになった問題の解明につとめました。とくに中性子星の構造の解明に、大きな役割を果たしました。

◆ ぎんが(ASTRO-C)

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ぎんがは、はくちょう、てんまに続く日本で3番目のX線天文衛星です。
X線は宇宙の中の高温のガスが放射したものです。こうした高温のガスは超新星のまわりや、白色矮星、中性子星のまわりなどで発生します。また、X線には周期的なもの、疑似同期的なもの、あるいは雑音のようなものなど、さまざまなものがあります。これらを観測することによって、X線天体の構造に関する重要な情報を得ることができます。こうした観測を行なうのがX線天文で、大気圏外で行なわれます。
ぎんがは、X線天体から放射されるX線の強さの変化を高精度で測定することを主目的に開発されたものです。大面積比例計数管(LAC)と、全天X線監視装置(ASM)、ガンマ線バースト検出器(GBD)の3つの観測器がのせられています。大面積比例計数管は日英、ガンマ線バースト検出器は日米の国際協力によって開発されたものです。星空を撮影するテレビカメラ・星像センサ(STT)などが搭載されています。
また、X線天文学計画ではぎんが、あすかで共同研究を行なうとともに、さらにX線天文衛星計画において種々の日米協力が行なわれています。

 ◆あすか(ASTRO-D)

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あすかは、近くの星から遠方の銀河に至るすべての種類の天体を、X線で観察することを目的に開発された、日本で4番目のX線天文衛星です。
軽量ですが、最新のX線観測技術を取り入れた高性能のX線天文台です。4台のX線反射望遠鏡をのせ、各焦点にX線撮像・分光装置(焦点面検出器)が置かれており、焦点面検出器には蛍光比例計数管2台と、X線CCDカメラ2台を用いています。これらによって、1980年代後半に活躍したぎんがの検出限界より数百倍の微弱なX線天体をとらえることができます。
また、X線天文学計画ではぎんが、あすかで共同研究を行ないました。あすかではX線反射望遠鏡とX線CCDカメラなど、さまざまな部分で日米共同開発・協力が行なわれ、さらにX線天文衛星計画においても種々の日米協力が行なわれていましたが、2001年3月2日に大気圏に突入し、約8年にわたる運用を終了しました。

 ◆すざく(ASTRO-EII)

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ASTRO-EII衛星は日本で5番目のエックス線天文衛星で、2000年2月に打ち上げに失敗したASTRO-E衛星の後継機です。アメリカの協力により、2005年7月10日、内之浦宇宙空間観測所からM-V-6号機により打ち上げられました。軌道に投入されたASTRO-EIIは「すざく」と命名されました。すざくの主要観測目的は、宇宙の奥深くにある天体をエックス線で観測することで、エックス線連星、超新星残骸、ブラックホールなどを非常に高い精度と感度の装置で観測、エックス線天体の謎の解明を行なう予定です。

 

ASTRO-AとASTRO-Gはどこにいったんだ?と思うかもしれませんがもちろんあります。

ASTRO-Aは「ひのとり」という太陽観測衛星です。

ASTRO-Fは電波天文衛星として開発が進められていましたが、技術的な問題により残念ながら開発が中止となっています。

 

ASTRO-H「ひとみ」が成功すればまたASTRO-I、ASTRO-J・・・と続いていくかもしれません。

ひとみの成功を祈っています。

 

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