ピロリ菌による胃がんの発症を抑える!新たな酵素発見

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東京大学(東大)は3月15日、ピロリ菌タンパク質「CagA」の発がん生物活性を抑制する酵素として「SHP1」を同定し、またエプスタイン・バールウイルス(EBウイルス)を感染させた胃の細胞ではDNAメチル化によりSHP1の発現が抑制され、CagAの発がん活性が増強することを見出したと発表した。

同成果は、東京大学大学院 医学系研究科 畠山昌則 教授、紙谷尚子 講師、千葉大学大学院 医学系研究科 金田篤志 教授、東京大学大学院 医学系研究科 深山正久 教授、瀬戸泰之 教授らの研究グループによるもので、3月14日付けの英国科学誌「Nature Microbiology」オンライン版に掲載された。

cagA遺伝子を保有するヘリコバクター・ピロリの胃粘膜慢性感染は、胃がん発症の最大のリスク因子となる。一方、約10%の胃がん症例では、cagA陽性ピロリ菌感染に加え、EBウイルスが胃がん細胞に感染していることが知られている。しかし、ピロリ菌とEBウイルスの共感染が胃がんの発症に及ぼす役割については、これまで研究されていなかった。

胃上皮細胞に進入したCagAは、チロシンリン酸化を受けた後、チロシン脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)「SHP2」と特異的に結合し、SHP2を異常活性化することで胃がんの発症を促すと考えられている。このSHP2は、脱リン酸化酵素であるにもかかわらず、CagAを脱リン酸化する能力を持っていない。

同研究グループは今回、CagAを脱リン酸化する酵素としてSHP2の兄弟分子であるSHP1を同定。CagA-SHP1複合体形成によりSHP1が活性化されることを明らかにした。さらに、CagAとSHP1を共発現させた細胞では、チロシンリン酸化依存的なCagAの発がん生物活性が抑制されることがわかった。これらの結果から、胃上皮細胞内におけるSHP1とSHP2の相対的な発現レベルが、ピロリ菌CagAの発がん活性を規定することが明らかとなった。

また、EBウイルス陽性胃がんの特徴として、感染した胃上皮細胞のゲノムDNAに広範なメチル化が誘導されることが知られていたが、今回、CagAの発がん活性に関わる宿主細胞内分子に着目し、EBウイルス感染胃上皮細胞株におけるゲノムのメチル化解析を行ったところ、EBウイルス感染によりSHP1遺伝子のプロモータが高度にメチル化されることが明らかになった。また同メチル化の結果、SHP1mRNAならびにSHP1タンパク質の発現が低下した。そこで、EBウイルス非感染胃上皮細胞ならびにEBウイルス感染胃上皮細胞にcagA陽性ピロリ菌を共感染させたところ、EBウイルス感染細胞においてピロリ菌タンパク質CagAの生物活性が大きく増大することが判明した。つまり、EBウイルスによるSHP1の発現抑制により、CagAの発がん活性が増強されたといえる。

同研究グループによると、ヒトのがん発症における発がん細菌と発がんウイルスの連携を明らかにしたのは今回が世界で初めてだという。

よくわかるピロリ菌と胃がんのはなし

よくわかるピロリ菌と胃がんのはなし

 

 

パーキンソン病の抑制にマウスで成功!たんぱく質が抑制

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神経細胞の減少を防ぐたんぱく質を使って、パーキンソン病の進行を抑えることに成功したと、大阪大の望月秀樹教授(神経内科学)らの研究チームが発表した。

動物実験による成果で、新しい治療法の開発につながる可能性があるという。論文は14日、英電子版科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

チームによると、パーキンソン病は細胞内の小器官、ミトコンドリアが傷つくことで、脳の神経伝達物質「ドーパミン」を出す神経細胞の減少を引き起こし、手足の震えや歩行障害などの症状が出るという。

チームは、神経細胞の減少を防ぐことで知られるたんぱく質「ネクジン」が、ミトコンドリアの働きを促進することを発見した。パーキンソン病を発症させたマウスの脳にネクジンの遺伝子を導入する実験を実施したところ、約90%の神経細胞が生き残り、症状の進行を抑制。一方、導入しない場合、30~40%しか生き残らず、症状が進行したと推定した。

 

 

順天堂大学が教えるパーキンソン病の自宅療法 (パーキンソン病の日本一の名診療所)

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  • 作者: 服部信孝,順天堂大学医学部脳神経内科
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2014/07/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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東大とドコモがスマホアプリで臨床研究!2型糖尿病・糖尿病予備軍が対象

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発表まとめ

  • 2型糖尿病・糖尿病予備群を対象にスマートフォンのアプリケーション(以下、スマホアプリ)を用いた国内初の本格的臨床研究を開始しました。
  • スマホアプリを用いた臨床研究は、ユーザーが参加しやすいため、一般的な臨床研究に比べて規模を大きくして実施できます。対象集団をより詳細に層別化でき、個人レベルで疾病のリスクを予測できる可能性があります。
  • 本研究により、さまざまな測定データと生活習慣に関する情報を継続的に長期間にわたって収集することが可能となり、日常生活と糖尿病の関連性を解明、糖尿病の予後の改善が期待されます。

 

東京大学と株式会社NTTドコモとの社会連携講座として設置された、東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座の脇 嘉代 特任准教授、同大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻の相澤 清晴 教授らは、Apple社ResearchKitを用いたものとしては国内で初めてとなる2型糖尿病・糖尿病予備群を対象にスマホアプリ「GlucoNote(グルコノート)」による臨床研究を開始しました。健診データに加えて、従来の臨床研究では収集することが難しかった、家庭などで計測した血糖値、血圧、体重、活動量などのデータと、食事や運動、睡眠など生活習慣に関する情報を継続的に収集することによって2型糖尿病患者・糖尿病予備群の健康状態と日常生活の関連性をより多角的に検討することができるようになります。また、ユーザーにスマホを使った自己管理支援を提供することで、東大COI拠点(自分で守る健康社会~Self-Managing Healthy Society COI拠点~)が目指す「自分で守る健康社会」への貢献が期待されます。



糖尿病は世界的にも極めて患者数の多い慢性疾患の一つです。2014年には成人の9%が糖尿病を患い、2012年の糖尿病による死亡は150万人でした(WHO統計)。

日本でも糖尿病が疑われる人は約2,050万人に達し、うち4割は十分な治療を受けていないことが明らかとなっており(平成24年国民健康・栄養調査)、国内外で、糖尿病患者の治療体制の整備と、それに向けた医療資源の効果的再配分が課題となっています。

糖尿病の治療の中心は生活習慣の改善であり、食生活と運動習慣を主とした生活習慣に関する療養指導が行われます。糖尿病の発症予防にも、また合併症の進展予防にも、自己管理を行うことにより健康的な生活習慣を維持することが求められています。近年、自己管理の支援のために情報通信技術(以下、ICT)を用いたシステムが多数開発されヘルスケア領域で健康維持のために用いられています。

海外では、糖尿病患者を対象に、スマホアプリを用いて自己管理をサポートするシステムの医学的有効性も報告されており、スマホアプリを用いて2型糖尿病患者の自己管理を支援することにより、血糖コントロールの改善効果が期待できると考えられています。一方で、ICTを用いた医療(eHealth/telemedicine)は多くの患者のデータ収集を可能とするものの、得られたデータをどう効率よく分析するか、また、そこで得られた結果をどのように患者にフィードバックしていくかという点では課題が残っています。

東京大学と株式会社NTTドコモとの社会連携講座である健康空間情報学講座は、時間的・空間的に分散して取得管理された電子的な健康・医療データを、携帯電話や無線LAN端末といったモバイル情報機器と、携帯電話などの情報ネットワークとによって仮想的に統合できる新しい健康情報空間を構築し、その実証研究を行うことを目的に設置されました。2009年9月1日の設置以来、ICT医療の普及を一つのテーマとして、研究から社会実装までを視野に入れてさまざまなプロジェクトに取り組んできました。2型糖尿病患者を対象としたICT自己管理支援システム(DialBetics:ダイアルベティックス)の開発と臨床研究もその一つです。

DialBeticsを用いた臨床研究では2型糖尿病患者を対象に3か月間のランダム化比較試験を実施しました。試験前後でのHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)の変化を調べたところ、DialBeticsを使用した群では有意に改善し、DialBeticsを使用しない群では変化しないことが確認されました。また、患者にとってより利便性の高いシステムを開発するため、本学情報理工学系研究科電子情報学専攻の相澤研究室と共同研究を行い、画像処理・認識技術を取り入れて食事画像から食事評価を行い、より健康的な食事を摂ってもらうようアドバイスを行う仕組みを開発し、パイロット試験によって利便性の向上を確認しました。このDialBeticsの研究内容をベースに、今回は2型糖尿病・糖尿病予備群のスマホユーザーを対象に、アプリを用いた臨床研究の実施と、アプリを用いた自己管理支援の実現を目指して新たなプロジェクトを立ち上げました。

本研究では、株式会社NTTドコモ、日本電信電話株式会社メディアインテリジェンス研究所の協力を得て、健康空間情報学講座が相澤研究室との共同研究として、Apple社が提供するResearchKitを用いたものとしては国内では初めてとなる2型糖尿病・糖尿病予備群を対象とする自己管理支援スマホアプリ(GlucoNote)を開発し、そのアプリを活用した臨床研究を実施します。スマホを活用して生活習慣が改善するように自己管理を支援し、同時に生活習慣(食事、運動、睡眠)と在宅測定データ(血糖値、血圧、体重、活動量)の関係を明らかにし、更に適切な自己管理支援につなげることを目指します。本臨床研究は研究参加に同意した2型糖尿病あるいは糖尿病予備群と診断された20歳以上の日本在住の方が対象で、参加期間は最長5年間です。参加者はGlucoNoteを用いて食事や運動などの生活習慣、体重、血圧、血糖値などの測定データを記録し(参考資料図1参照)、いくつかの質問に回答していただきます。またヘルスケアアプリを経由して計測された歩数を記録します。測定とデータの記録は参加者の任意です。本研究は東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会の承認を得て実施しています。

従来の臨床研究に比べて、規模の大きい対象者から長期間にわたって各種データと生活習慣に関連した情報を収集することによって、日常生活と糖尿病の関連性を明らかにすることが可能となります。

現在、病院の電子カルテから得られた情報をもとに、糖尿病患者の血糖管理状況、治療状況、合併症の有病率などを解析し、現在の日本における糖尿病患者の実態を明らかにすべく電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する臨床情報収集に関する研究(診療録直結型全国糖尿病データベース事業、J-DREAMS)が国立国際医療研究センターと日本糖尿病学会との合同で進行中です。J-DREAMSで得られたカルテ情報の解析結果とGlucoNoteで得られた日常生活情報の解析結果を統合的に用いることができれば、2型糖尿病患者の状況をより多面的に把握することが可能となります。

2型糖尿病患者や糖尿病予備群患者の状況を、日常生活という観点から詳細に検討できれば、より効果的な自己管理支援を患者に提供できるようになり、現在、東京大学COI拠点が目指す「「自分で守る健康社会」の実現」への一助ともなり得ます。

 

ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.2

ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.2

 

 

利益相反?COI?一体なに?研究によく出てくる言葉

www.yomidr.yomiuri.co.jp

薬害オンブズパースン会議は2日、心臓の一部が不規則に震える心房細動の薬物治療で、指針策定に関わった11人の研究者が2014年度に製薬企業5社から計1億円以上の報酬を受け取り、利益相反の疑いがあるとして、5社と指針を作った日本循環器学会など3学会に公開質問状を送った。指針は13年に改定され、5社の抗血栓薬4種類の使用が推奨された。

 こんなニュースがありました。

利益相反という言葉は普段生活していると殆ど聞くことはないと思います。

しかし、臨床研究や学会での発表の時にはよく耳にします。

それでは利益相反とはどのようなものなのでしょうか。

利益相反とは・・・

利益相反とは、外部との経済的な利益関係により公的研究で必要とされる「公正」かつ「適正」な判断が損なわれる、または損なわれるのではないかと第三者から懸念が表明されかねない事態のことを言います。
 利益相反は程度の差こそあれ必ず存在するものです。利益相反があること事態が問題なのではなく、それにより研究の倫理性および科学性が揺るがないことが大切です。
 そのため、利益相反に関しても個人で管理するのではなく、第三者が研究の倫理性および科学性を審査し担保する体制が必要です。*1

研究を行うためには資金が必要となります。資金を自前で調達する研究者も稀にいますが、一般的にはそれは困難です。研究を進めるには企業などからの資金提供が必要となります。資金がなければ研究は進まず、その先にある科学や医学の進歩はありません。

 

利益相反が悪なのではなく、それによってデータの捏造や不正など真実が曲げられることが問題なのです。

そのために利益相反に関しても個人で管理するのではなく、第三者が研究の倫理性および科学性を審査し担保する体制がが必要となってくるのです。

最近では論文や学会での発表の際に、利益相反を公表することが多くなっています。

この点については流して読んだり、聞いたりしているかもしれませんが一度確認してみてください。

 

利益相反とは何か―どうすれば科学研究に対する信頼を取り戻せるのか

利益相反とは何か―どうすれば科学研究に対する信頼を取り戻せるのか

 

 

ホットバルーンに冷凍カテーテルアブレーション。最新の不整脈治療

3月8日の「みんなの家庭の医学」でホットバルーンによるアブレーションが紹介されていました。

 

アブレーションとは、心臓の拍動リズムに異常を来して脈拍数が多くなる、「頻脈性不整脈(ひんみゃくせいふせいみゃく)」という病気に対し行われる治療法です。足の付け根などの太い血管からカテーテルを入れて、心臓内部の不整脈の原因となっている部分を小さく高周波電流で焼き切ります。手術が成功すれば不整脈の根本的な治療をすることができます。*1

 

ホットバルーンはこのアブレーション治療に使用されるカテーテルの一種です。

ホットバルーンの詳細はこちらを御覧ください。

ホットバルーンは高周波で温度を上げて細胞を焼く治療ですが、逆に冷却する治療も存在します。

冷却するものは冷凍アブレーションカテーテルという機器を使用します。

詳しくはこちらを参考にしてみてください。

www.youtube.com

※動画は冷凍アブレーションのイメージ動画です。

ホットバルーンも冷凍アブレーションも2015年に厚生労働省から承認を得たばかりの最新の治療法です。今はこの治療ができる病院は多くはありませんが、今後増えてくることが期待されます。

 

冷凍カテーテルアブレーション

冷凍カテーテルアブレーション

 

 

 

 

 

ギガゾンビが話題。映画ドラえもんのこれまでの推移。

なぜだかわかりませんが「ギガゾンビ」が話題のキーワードにあがっていました。

ちなみにギガゾンビとは映画「ドラえもん のび太の日本誕生」に出てくるラスボス的存在のキャラクターです。

http://ks.c.yimg.jp/res/chie-que-12135/12/135/853/677/i320 

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12135853677

私はギガゾンビよりツチダマという遮光器土偶のほうが怖かった思い出があります。「コノウラミハラサデオクベキカ」が耳から離れません。

http://stat.ameba.jp/user_images/20131103/00/napogistlar/9b/5d/j/o0640064012736765746.jpg

http://matome.naver.jp/odai/2143663527487968001

このドラえもん のび太の日本誕生」は動員数420万人とドラえもん映画史上歴代1位となっています。

2位以降はこんな感じです。

  1. のび太の日本誕生
  2. のび太の南海大冒険
  3. のび太の宇宙漂流記
  4. のび太のねじ巻き都市冒険記
  5. のび太とアニマル惑星

動員数をグラフにするとこんな感じです。f:id:ynori07:20160308224058p:plainデータはウィキペディアより

変動はありますが安定しています。

ちなみに興行収入はこんな感じ。

f:id:ynori07:20160308225759p:plain

 データはウィキペディアより

興行収入と動員数は必ずしも一致しないんですね。なぜかはわかりません。知っている方がいれば教えて下さい!

興行収入は右肩上がりです。さすがドラえもん。衰えを知りません。

今年の映画ドラえもんは日本誕生のリメイクです。ぜひ興行収入と動員数の2冠を狙って欲しいです。

 

 

ドラえもん 新・のび太の日本誕生

ドラえもん 新・のび太の日本誕生

 

 

なでしこジャパン予選敗退。これまでのオリンピックでの結果

zasshi.news.yahoo.co.jp

女子サッカー日本代表なでしこジャパンのリオ五輪出場が消滅してしまいました。

アジア予選敗退はシドニーオリンピック以来のことだそうです。

ではこれまでのオリンピックでの結果どうだったのでしょう?

 

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